京都精華大学生通り魔殺人事件は、2007年(平成19年)1月15日に京都市左京区で発生した殺人事件。犯人は検挙されておらず、2018年現在も未解決。
出演……大谷昭宏(ジャーナリスト)、堀江政生アナ(朝日放送)、関根友実アナ(朝日放送)、宮崎哲弥(評論家)
《テロップ》 未解決事件2007
《テロップ》 京都精華大生 刺殺事件
《堀江ナレーション》 「プロの漫画家になるんだ」……夢に向かって歩き始めた大学生、千葉大作さんが自転車で友人の家に向かう途中、何者かに刺され殺害されました。
《堀江ナレーション》 現場で千葉さんを攻め立てる不審な男。
《堀江ナレーション》 そして無抵抗の千葉さんを執拗に刃物で追い回した男の靴の跡が残されていました。
《堀江ナレーション》 しかし捜査は手詰まり状態のまま、まもなく1年を迎えようとしています。
《堀江》 現場には情報提供を呼び掛ける警察のこのような看板が設置されています。
《堀江》 しかし未だ事件は解決に至っていません。
《堀江ナレーション》 〝犯人は現場周辺に住む男〟という警察の見立ては、今でも捜査の軸足となっているのか?
《堀江ナレーション》 解決の兆しは見えているのか?
《堀江ナレーション》 今日の『事件にヤマあり大谷あり』、京都精華大学生刺殺事件。消えた犯人と、深まる謎に迫ります。
《堀江》 今年(2007年)発生した殺人事件、11月末までで1,119件。『ムーブ!』でもお伝えしてきました中の、この未解決の事件ですね。
《堀江》 京都精華大生刺殺事件。今日はもう一度お伝えしてまいります。
間もなく1年、年を明けて15日に1年ということになるわけなんですが、現在も京都府警は48人体制で聞き込みなどの捜査を続けています。
そして情報提供を呼び掛けているわけなんですが、情報提供を呼び掛けているのは警察だけではありませんで……
《堀江》 漫画家を目指していた千葉大作さんの恩師らがですね、なんとか解決してほしいということで、事件の経過などを漫画にしまして情報提供を呼び掛けているんです。
この凄惨な事件を振り返ってみましょう。
《関根》 はい。事件は今年(2007年)1月15日に起きました。
京都精華大学マンガ学部に所属していた千葉大作さん、当時20歳が午後7時40分ごろ大学を出て、自転車で友人宅へ向かう途中でした。
このまま道沿いに行った700メートル先のこの場所で、
《関根》 午後7時50分ごろ「刺されて倒れている」と通報がありました。ですから、わずか10分間のあいだに犯行が行われたとみられています。
また多くの人が不審な男を目撃しています。
《関根》 その男はこんな感じです。
二十歳代の男とみられ、身長は175センチ、靴は28センチから29センチ。
千葉さんが「知らない男に刺された」という言葉を残していること、また自転車の脇で千葉さんを怒鳴りつけている男の姿が目撃されていることなどから、
《関根》 当初は自転車の通行トラブルが殺害事件に発展したのではないか、と見られていました。
《堀江》 しかし大谷さんは事件の当初から、
《堀江》 「千葉さんに恨みを持つ片識(かたじき)の男」……つまり千葉さんは知らないけれども、一方的に知っていた男の犯行なのではないか?という見方をしていました。
《大谷》 これは私、今でもかなりそう思ってます。
たまたま今度、ルネサンスの佐世保の事件※が起きましたけども、あれがもしですね、倉本さん(佐世保事件の被害者女性)が付き合ってた男性がいきなり撃ち殺されたらですね、非常に解決が難しかったと思うんですね。※ルネサンスの佐世保の事件……「ルネサンス佐世保散弾銃乱射事件」のこと。2007年12月14日に長崎県佐世保市にあるスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」に、散弾銃を持った男が侵入し発泡、男女計2人を殺害、子どもを含む6人に重軽傷を負わせた。男は現場から逃走後に自殺している。犯人は37歳の無職の男で、当初は無差別殺人と思われたが、犯人がこの事件で殺害したうちの女性インストラクターに、一方的に恋愛感情を抱いていた事が判明している。またこの女性インストラクターと交際していた男性も現場に居合わせたが無事だった。
《大谷》 まさかだってマイさん(佐世保事件の被害者女性)は男性と付き合ってるって事は(もし交際男性も一緒に殺されてたら、犯人の動機が)出てこないですね。ただし、異常な恨みは持ってるわけですよね。
《大谷》 そうなってくるとですね……まあ、後々出てきますけども、これだけ捜査員を投入して似顔絵まで出来てる、しかも目撃者もいるということは、(犯行現場の)近場じゃなくて、実は被害者の近場にいた人間じゃないかと。土地の近場ではないような気がするんです。
《堀江》 なるほど。
《堀江》 実はその現場に私、昨日行ってきました。ビックリするほど現場は変わっていたんです。
《大谷》 そうみたいですねぇ。
《堀江》 犯行現場がこちらなんですけれども、非常に幹線道路です。
《堀江》 通学バスも通るような時間帯でした。
《堀江》 (事件発生から)11ヵ月経って、現在犯行現場は畑ではなくて住宅地……家が建っています。
《堀江ナレーション》 あの凄惨な事件から11ヵ月。
《堀江ナレーション》 現場はすっかり姿を変えていました。
《堀江ナレーション》 当初から一貫して、「自転車による通行トラブルが殺害事件に発展した」と見られていたこの事件。
《堀江ナレーション》 その理由は、自転車2台がすれ違うには狭い歩道。
《堀江ナレーション》 そして事件直前には、“異様な形相で千葉さんを責め立てる男”が、十数人もの人に目撃されている事です。
《堀江ナレーション》 身体を揺らしながら「アホ、ボケ」と連発。
《堀江》 こちらの歩道なんですが、比較的広くて自転車が2台すれ違うのにさほど困るような状況ではありませんし……
《堀江》 接触したとしても、ささいな接触としか考えられないんです。
《堀江》 しかし一方で犯行はかなり残虐で、
《堀江》 執拗に相手を追いかけ回していまして、
《堀江》 畑のスペースとしてはかなり広い範囲にわたって足跡が広がっていたわけです。
《堀江》 ささいな接触から生まれた犯行にしては、不自然な点が多いような気がします。
《堀江ナレーション》 畑に残された複数の足跡……千葉さんを執拗に追い回したとみられる形跡が残されていました。
《堀江ナレーション》 突発的なトラブルの末の強行か、それとも初めから殺意を抱いての犯行だったのか。
《堀江ナレーション》 さらに不気味なことに犯行直後、別の目撃者が通った時には不審な男は、歩道にしゃがみ込んでいたのです。
《堀江》 「おかしいな」と思って、その人は戻ってきました。その間わずか30秒。しかし、機敏にも不審な人物は自転車に乗り、あちらの方へ行っていた訳なんですが……
《堀江》 自転車で30秒といいますと、充分あそこの点滅している信号の所までたどり着くことができますし、右にそれる道もいくつかあります。
《堀江》 不審な人物は行方をくらませてしまいました。
《堀江ナレーション》 男が去ったあと、その場所には千葉さんの姿がありました。
《堀江ナレーション》 千葉さんは助けを求めるように高い段差を乗り越えて……
《堀江ナレーション》 こちらのところまで来て座っていたということなんです。
《堀江》 この場所には、今もこのように花が手向けられています。